鹿月舎付録、あるいは付随ページ

鹿鳴館ラジオとは

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もう、三十年近く前になるのか、あるいは、もっと前になるのか、その昔、筆者はビデオメーカーを持っていた。まだ、アダルトビデオという言葉のなかった頃だ。
そんな時代だったので、ビデオは売れていた。動くビニ本。それがあの頃のビデオだった。ビニ本でも十分に刺激的だったのだ。それが動くのである。それ売れて当然だった。筆者のメーカーの商品も売れていた。
そんな時代。筆者は小売店にビデオを納品しながら、いつも疑問だった。動く絵が隣にあるのに、このエロカセットテープというのは何なのだろうか、と、そう思っていたのだ。確かに、あの頃、ビデオは三十分で一万二千円と高価だった。カセットテープはその時代に千円から三千円で売られていた。ビデオよりは確かに安いが、それでも高い。
それを小売店で聴かせてもらった。これがいいのだ。絵がないほうがエロティックだったのだ。
ビデオメーカーをやる前には、筆者は出版にいた。エロ小説には絵も音もないが、それは刺激的なものだった。
あの時代から、筆者は、さまざまなエロビジネスをやって来た。本、ビデオ、電話、射精産業、サークル、玩具。しかし、あれほど憧れたエロテープは一度も作らなかったのだ。
もう筆者は写真もビデオもビジネスにする気がない。そうしたことは、すでにやり尽したのだ。しかし、音の世界だけは、何ひとつやったことがないのである。
これをやりたい。エロビジネスの集大成として、最後に、小説でも、映画でも、店舗でもなく、ラジオをやりたい。やりたくなったのだ。

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