シチュエーション小説(状況設定小説)とは。
鹿月舎は鹿鳴館サロンにおいて三年以上もの間「書き方講座」あるいは「文章実験室」というイベントを行い、小説の書き方について検討してきました。あるときは「純文学」あるときは「恋愛小説」「ミステリー小説」「ホラー小説」「ドキュメンタリー小説」の書き方について考え、そして、イベント参加者で、それを書いてきたのです。
そうしたことの全ては、鹿鳴館サロンに集う人たちの官能を文章化するための準備でした。
そして、準備は整いました。
ここからは、それぞれの作家が自らの官能を表現し、それをビジネスとして行くことになるのです。
しかし、鹿鳴館サロンに集う人たちは「変態」「性的逸脱者」「マニア」「性異常者」「SM愛好者」「妄想家」「空想的性嗜好者」などであって、本当の意味での職業作家ではありません。
それがゆえに、たった一人で、小説という高野に挑むには、あまりにも無謀だと思われるのです。そこで、一人で挑むことが敵わないなら、複数でこれに挑もう、と、そうして経緯で実験として行われはじめたのが、この「シチュエーション小説」でした。
これは、あるシチュエーションが用意され、その中でそれぞれが自らの世界を描くという手法なのです。
シチュエーションとして用意されているものは無限にあります。
小説の冒頭と結末。小説の登場人物。あるいは、同時刻に同じ体験をしたさまざまな人たち。あるいは、同じ犯罪で逮捕された人の別々な告白。先に書評があり、その書評が書かれるであろう小説を書くというのもあるでしょう。本当に鹿月舎は無限のそうしたシチュエーションを準備しているのです。
ただし、これらは、それぞれにルールが複雑ですし、また、シチュエーションについては会話的補足も必要とされています。
ゆえに、鹿月舎で、これらの小説製作に参加するためには、鹿鳴館サロンに来てもらわなければならないのです。
また、鹿月舎の読み手にとっては、これらの小説が鹿鳴館サロンに実際に出入りしているところの作家のものである、と、そう考えることも、その楽しみの一つとなっているのです。
それが鹿月舎が提供するシチュエーション小説というビジネスなのです。
地方の方、海外から参加してみたいという方には、いささか不利だとは思うのですが、この小説の醍醐味を失わせないための、これが唯一の手段だったとご理解いただきたいのです。
ただし、それでも、遠距離参加を望むマニアの方のためには、特別に通信で、これを行うことも考えています。その場合でも、鹿鳴館サロンに、一度は来ていただく必要はあるわけですが……。